ミツバチと心を通わせるまで
養蜂の歴史は古い。スペインのアラニア洞窟の壁画には、女性らしき人物が蜂の巣を採集するスケッチが描かれているという。その壁画が描かれたのが紀元前1万5000年というから驚きだ。途方もない遥か昔から、人類と蜂とで密な関わりがあったのかと思うと、ロマン心をくすぐるような不思議な気持ちになる。
宮古島にもミツバチと真剣に向き合う人物がいる。佐渡山正光さんは自然養蜂にこだわり、純度の高い天然のハチミツの採取を行っている。友人の勧めで始めた養蜂はもう10年以上となるが、自分の思い通りに採蜜ができるようになったのは最近のことだという。
「友人と巣箱を買って養蜂を始めたけど、最初は全部失敗した。本を買って学んでも理解できないことがたくさんある。例えば、繁殖期になって巣の中のミツバチがいっぱいになったら分蜂(蜂が逃げること)してしまう。10年以上が経ってやっと経験則から運用ができている」
ミツバチの行動範囲は半径2キロほど。長年の経験を活かして、現在は島内6箇所に分けて巣箱を設置している。
宮古島にもミツバチと真剣に向き合う人物がいる。佐渡山正光さんは自然養蜂にこだわり、純度の高い天然のハチミツの採取を行っている。友人の勧めで始めた養蜂はもう10年以上となるが、自分の思い通りに採蜜ができるようになったのは最近のことだという。
「友人と巣箱を買って養蜂を始めたけど、最初は全部失敗した。本を買って学んでも理解できないことがたくさんある。例えば、繁殖期になって巣の中のミツバチがいっぱいになったら分蜂(蜂が逃げること)してしまう。10年以上が経ってやっと経験則から運用ができている」
ミツバチの行動範囲は半径2キロほど。長年の経験を活かして、現在は島内6箇所に分けて巣箱を設置している。
華やかな蜜の香りに誘われて
四季折々で美しい花々が咲き誇る宮古島は、養蜂業にうってつけの場所だ。花によってハチミツの香りや味、さらには採蜜量が変わってくるのだが、佐渡山さんは長年の経験から最適解を見出した。
「味わいや香りはヒマワリが良いって聞いて植えたけど、蜜の量がなかなか取れなくて苦労した。サクラはあまり味がしなかった。いろいろ試してシロノセンダングサが一番ってわかった」
シロノセンダングサは北アメリカ原産の多年草。日本には江戸時代頃に渡来したとされ、沖縄では古くから薬草として使われていた。
「蜜の成分を分析してくれる会社に調査してもらったら、通常のハチミツよりも3倍ほど栄養価が高いことがわかった。天然のものに勝るものはないと、このハチミツが教えてくれた」
「味わいや香りはヒマワリが良いって聞いて植えたけど、蜜の量がなかなか取れなくて苦労した。サクラはあまり味がしなかった。いろいろ試してシロノセンダングサが一番ってわかった」
シロノセンダングサは北アメリカ原産の多年草。日本には江戸時代頃に渡来したとされ、沖縄では古くから薬草として使われていた。
「蜜の成分を分析してくれる会社に調査してもらったら、通常のハチミツよりも3倍ほど栄養価が高いことがわかった。天然のものに勝るものはないと、このハチミツが教えてくれた」
the rescapeの総料理長を務める川嶋伸介も、ハチミツの香りに驚いたと話す。
「他とも比較していたのですが、佐渡山さんが作るハチミツは段違いに香りが華やかで味が濃かったです。それが強く印象に残っていて。ケーキに使うとより違いがわかります。火を入れても香りが飛ばない。これはすごいこと。私はプライベートでも重宝しています」
the rescapeでは、朝食のパンのお供として佐渡山さんのハチミツを提供している。 「ハニーディスペンサーでハチミツを提供するなどビジュアルにもこだわっています。香りがいいのでゲストのみなさんが喜んでくれますね」
the rescapeでは、朝食のパンのお供として佐渡山さんのハチミツを提供している。 「ハニーディスペンサーでハチミツを提供するなどビジュアルにもこだわっています。香りがいいのでゲストのみなさんが喜んでくれますね」
ゲストからの反響を聞いた佐渡山さんは「嬉しい。このハチミツは島の自然の味。それを楽しんでほしい」と満面な笑顔を見せてくれた。
世界からミツバチがいなくなると…?
インタビューして意外だったのだが、養蜂業ではハチミツの販売以外にも、蜂が入った巣箱を農家に提供することで収益を得ることもあるそうだ。
「交配用の巣箱を農家に提供している。そういう業者があって自分は年間100箱送る契約をしている。世界的にミツバチが減っているので、交配用の需要が高まっている。野菜をハウスで作っている農家はミツバチが必要だからね」
蜂の数は世界的に年々減り続け、2018年のアメリカではミツバチの40%が死滅し深刻な状況になった。日本でもオガサワラヤドリキバチなど数種類の蜂が絶滅のおそれのある「レッドリスト」に名を連ねている。世界中の農作物の3分の1がミツバチを介して受粉しているといわれており、ミツバチの減少は「食糧危機を招く」という意味でも重要なテーマとなっている。
「今後は後継者育成にも力を入れていく」とも話してくれた佐渡山さん。その眼は未来をしっかりと見据えていた。
「交配用の巣箱を農家に提供している。そういう業者があって自分は年間100箱送る契約をしている。世界的にミツバチが減っているので、交配用の需要が高まっている。野菜をハウスで作っている農家はミツバチが必要だからね」
蜂の数は世界的に年々減り続け、2018年のアメリカではミツバチの40%が死滅し深刻な状況になった。日本でもオガサワラヤドリキバチなど数種類の蜂が絶滅のおそれのある「レッドリスト」に名を連ねている。世界中の農作物の3分の1がミツバチを介して受粉しているといわれており、ミツバチの減少は「食糧危機を招く」という意味でも重要なテーマとなっている。
「今後は後継者育成にも力を入れていく」とも話してくれた佐渡山さん。その眼は未来をしっかりと見据えていた。